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非接触センサとは?仕組みや種類・活用メリットと光センサの特長をわかりやすく解説

公開日:2025/12/10

更新日:2025/12/10

アカデミー


非接触センサとは?仕組みや種類・活用メリットと光センサの特長をわかりやすく解説

「非接触センサとは具体的にどんなもの?」
「種類が多くて、それぞれの原理や違いが分からない」
「自社の課題解決に最適な非接触センサを選ぶにはどうすれば?」

非接触センサは、物体に触れることなく状態を検知する技術で、工場の自動化から私たちの身近な製品に至るまで、現代社会に不可欠なデバイスです。

しかし、光を利用するものから超音波、電磁気を利用するものまで、その種類と原理は多岐にわたるため、用途に合った最適なセンサを選び出すのは容易ではありません。

そこで本記事では、非接触センサの種類や具体的な活用事例、そして選定のポイントまで、網羅的に解説します。

  • 基本的な仕組みや活用のメリット
  • 主要な非接触センサの特徴
  • さまざまな産業分野での具体的な活用事例

本記事を読めば、複雑な非接触センサの世界が理解でき、目的に最適な1台を見つける手助けとなります。ぜひ最後までお読みください。

非接触センサの活用メリット

本項目では、非接触センサの活用メリットを解説します。

  1. 検知物に触れる必要がない
  2. 対象物の状態を問わず検出できる
  3. 高速応答できる

それぞれ、わかりやすく解説していきます。

 

1.検知物に触れる必要がない

・非接触センサでもっとも大きなメリットは、検出対象に物理的に触れる必要がない点です。
・接触によって傷や変形が生じやすい電子部品や、危険物など、直接触れることが困難な対象物の検知も可能になります。
・さらに、センサ自身も対象物との接触による摩耗や損傷がないため耐久性が高く、メンテナンスの頻度やコストを削減できるという利点もあります。
・摩耗粉の発生もないため、クリーンルームのような清浄度が求められる環境での使用にも適しています。対象物とセンサの両方に優しい検出方法である点は、品質管理の向上や生産効率の改善に大きく貢献するといえるでしょう。

 

2.対象物の状態を問わず検出できる

・対象物の色や材質といった状態に影響されにくい非接触センサも存在します。たとえば、静電容量型センサは金属だけでなく樹脂や液体、超音波センサは透明なガラスや液面といった複雑な形状の物体でも検出可能です。
・また、光電センサの一種である距離設定型センサは、背景物の影響を受けにくく、検出対象の色や材質の違いによる検出距離の変動を抑えられます。
・対象物を選ばずに利用できる汎用性の高さから、多品種の検出が求められる現代の製造業において非常に重要なメリットといえます。

 

3.高速応答できる

・非接触センサは、検出信号の応答速度が非常に速いというのもメリットのひとつです。
・多くの場合はミリ秒単位、あるいはそれ以下の応答時間を実現しており、高速で移動する対象物の検知などに力を発揮します。
・電子部品の実装機や包装機械、印刷機械などでは、部品や製品が目にも留まらぬ速さで移動します。しかし、非接触センサの高速応答性により、正確な位置決めや個数カウント、不良品の選別が可能です。
・この高速応答性は、タクトタイム(ひとつの製品にかかる製造時間)の短縮やスループット(一定時間内に処理できるデータ量や仕事量)の向上に直結します。
・とくに安全装置として利用される場合、危険を瞬時に察知して機械を停止させるためにも、この高速応答性は極めて重要な要素といえるでしょう。

 

非接触センサの種類

非接触センサには多種多様な種類があり、それぞれ異なる原理で対象物を検出します。本項目では代表的な非接触センサについて解説します。

  • 光センサ(フォトセンサ)
  • 焦電センサ
  • 静電容量センサ
  • 磁気近接センサ
  • 超音波センサ
  • 画像判別センサ
  • 熱センサ(サーマルセンサ)

紹介するセンサごとの特性を理解することで、選定に必要な知識を得られます。

 

光センサ(フォトセンサ)

・光センサ(フォトセンサ)は、可視光線や赤外線などの光を利用して物体の有無や通過、色、表面状態などを検出するセンサの総称です。
・投光部から発射された光が、検出物体によって反射されたり遮られたりする際の光量の変化を受光部で検出し、電気信号に変換します。
・代表的な検出方式には、投光器と受光器が対向する透過型、投光部と受光部が一体で物体からの反射光を検出する反射型などがあります。
・光センサは、金属・樹脂・ガラス・液体など、ほとんどの物体を検出できる汎用性の高さが特徴です。検出距離を比較的長く取れる製品や、微小な物体を検出できる製品などバリエーションも豊富です。
・製造ライン上の部品検知など、幅広い用途で活用されています。

※「光センサとは」の記事へ ▶▶▶

焦電センサ

・焦電センサは、人体や動物などから放射される赤外線の変化を捉えて、存在や動きを検知するセンサです。
・センサの核となるのは温度変化に応じて表面電荷が変化する特性を持つ焦電素子です。対象物が発する赤外線エネルギーを焦電素子に当てることで温度変化を引き起こし、それによって生じる電気信号の変化を検出します。
・焦電センサの大きな特徴は、周囲の明るさに関係なく、温度を持つ物体の動きを検知できる点です。
・防犯用の警報装置や自動照明、自動ドアの起動センサとして広く利用されています。
・対象物が静止している場合は検知しにくいという特性があるため、動きを伴う対象物の検知に適しています。

 

静電容量センサ

・静電容量センサは、センサの検出電極と対象物との間に形成される静電容量(電気を蓄える能力)の変化を検出して、物体の接近や接触を検知するセンサです。
・対象物が検出電極に発生させた高周波の電界に進入すると、誘電率や大きさ、距離に応じて静電容量が変化します。この変化を発振回路の周波数変化や振幅変化として捉え、物体の有無や位置を判別します。
・スマートフォンやタブレットのタッチパネルは、指が画面に触れることで生じる微小な静電容量の変化を検知する、静電容量センサの代表的な導入事例といえます。
・静電容量センサは金属だけでなく、樹脂、液体といった非金属物質や絶縁体も検出できる点もメリットです。

 

磁気近接センサ

・磁気近接センサは、磁石や磁性体の接近を検出するセンサです。
・一般的なタイプは、ホール素子と永久磁石を組み合わせたものです。ホール素子は、「ホール効果」を利用して磁場を検出する素子です。
・ホール素子には、磁場の強さに応じた電圧を出力する「アナログホール素子」と磁場の有無をON/OFFで判断する「デジタルホール押し」があります。
・検出対象が磁石または強磁性体に限定されるため、非磁性体の検出はできませんが、その確実な動作と耐環境性から多くの産業分野で活用されています。

 

超音波センサ

・人間には聞こえない高い周波数の音波(超音波)を利用して、対象物までの距離を測定したり、物体の有無を検出したりするのが超音波センサです。主に、タンク内の液面レベル測定、駐車場の車両検知などに活用されています。
・メリットは、対象物の色や透明度、材質にほとんど影響されずに検出できる点です。
・一方で、音を吸収する材質や、高速で移動する物体の検知には不向きです。
・そのため、光センサでは検出しにくい材質である透明なガラスや液面の検出に向いています。

 

画像判別センサ

・画像判別センサは、カメラで撮影した画像情報を処理することで、対象物の有無や形状、色などを認識・判別するセンサです。
・単に物体を検出するだけでなく、その「中身」や「状態」まで詳細に検査できる点が大きな特徴です。
・他のセンサと比較して非常に多くの情報量を扱えるため、複雑な検査や判別作業を自動化できます。例えば、製品の傷・汚れの検査、文字認識(OCR)、バーコードやQRコードの読み取りなど、極めて広範囲に利用可能です。
・しかし導入コストが比較的高価であったり、高精度な検知のためには適切な照明設定が必要だったりといった特性もあります。
・メリットだけでなく、こうした特性も理解したうえで導入すべきかを検討しましょう。
 

代表的な非接触センサの比較

非接触センサは、検知方式や精度などに異なる特徴を有しています。代表的な非接触センサを比較し、それぞれの違いを下表にまとめました。

比較項目 光センサ 静電容量式センサ 超音波式センサ 磁気式センサ
検知方式 光の反射・遮断
透過を検知
電界の
変化を検知
音波の
反射時間を測定
磁場の
変化を検知
精度 非常に高精度 中程度
(近距離で安定)
中〜高
(距離測定に強い)
高精度
(位置検出に強い)
検知距離 数mm〜数十m
(種類による)
数mm〜数cm 数cm〜数m 数mm〜数cm
環境適応性 光・埃・透明物に
弱い場合がある
湿度や埃に
比較的強い
暗所や埃に強いが
吸音物に弱い
光や埃の影響を
受けにくい
コスト 安価〜高価
(用途により大きく変動)
安価 中程度 中程度
用途例 顔認識、物体検知
自動ドア、LiDAR等
タッチレススイッチ
液面検知
障害物検知
距離測定
位置検出
回転検出

上表のように、非接触センサは、それぞれで検知方式や精度が異なります。

 

また下記のようなシーンでは光センサが特に有効なケースです。

利用シーン・用途 理由・メリット
自動ドア・エレベーター 物体の通過を瞬時に検知できる。応答速度が速く、誤作動が少ない。
距離測定 数十メートルまでの高精度な距離測定が可能。ロボットや自動運転車に最適
生産ライン 製品の通過や位置を正確に検知。高速ラインでも対応可能。
透明物体の検知 特殊な光センサ(偏光・赤外線など)でガラスやフィルムなども検知可能。
屋内環境での物体検知 光の安定した環境では非常に高精度で安定した検知が可能。
色識別・品質検査 色の違いや表面状態を光の反射で判別。食品・化粧品・電子部品などの検査に有効。

利用シーンや用途ごとに最適な非接触センサは異なるため、自社の状況に合致する製品を検討しましょう。
 
 

身の回りで活用されている
光センサ(フォトセンサ)の導入事例

光センサは、私たちの身の回りのさまざまな分野で活用され、生活の利便性や安全性を高めています。
本項目では光センサがどのように導入されているのかを解説していきます。

  • 金融分野
  • 医療分野
  • アミューズメント分野

各分野での応用例を知ることで、自社事業での活用法も理解できるようになります。

 

金融分野

・金融分野における光センサは、紙幣識別・鑑別の精度向上に大きく貢献しています。
・ATMや紙幣計数機では、紙幣に含まれるインクの反射特性や透過率を高精度で検出することで、
真偽判定や種類識別が可能です。
・紫外線や赤外線を用いた光センサは、偽造防止インクや特殊印刷の有無を瞬時に判別し、偽札の流通を防止します。

 

医療分野

・医療分野では、患者の負担軽減や診断・治療の精度向上に役立っています。
・代表的な導入事例は非接触体温計です。額や耳から放射される赤外線を熱センサで検出し、体温を測定できるため、感染症対策において、接触による感染リスクを避けるために広く活用されています。
・MRIやCTスキャナなどの画像診断装置における患者の位置決めや、呼吸同期システムなどにも、高精度な光センサ技術が導入されています。

 

アミューズメント分野

・アミューズメント分野では、光センサが機器の動作制御や演出効果の向上、そしてプレイヤーの操作検知といった多岐にわたる目的で不可欠な技術として活用されています。
・特にパチンコやスロットといった遊技機においては、内部に多数の光センサが組み込まれ、ゲームの進行や正確な判定を支えています。
・パチンコ機では、打ち出された玉の正確なカウントや特定のルート通過の判定を光センサが行ってます。
・スロット機においても同様で、リールの回転や停止位置の精密な検出には高分解能の光センサが使われます。
・また、非接触であるため耐久性が高い点も採用される理由のひとつです。
・これらのセンサの働きにより、遊技の公正性担保と、プレイヤーを魅了する多彩な演出の両面で、アミューズメント機器の根幹を支える重要な役割を担っているのです。

 

非接触センサのなかでも光センサに
関するご相談は「新光電子」まで

・非接触センサは、対象物に触れることなく検知できるという大きな利点を持っており、産業界の自動化から日常生活の利便性向上貢献しています。
・光や電磁気、超音波など、いくつかの原理に基づいた多様な種類が存在しているため、選定時にはそれぞれの能力と用途を把握しておかなければいけません。
・本記事の内容を参考に、自社ビジネスに最適な非接触センサを選定してください。

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